演奏家を呼ぶのは案外簡単 でもこれはダメ2

前回のブログ「演奏家を呼ぶのは案外簡単 私の場合1」の続編です。

同業の方からも一般の方からも色々とコメントを頂たり、シェアして下さる方も何名かいて、私の方も想像以上の反響にちょっと驚いております。同時にとても嬉しいです。


前投稿で演奏家を呼ぶのに一番大事なのは

「集まりの趣旨」ということもお分かりになったと思います。

要はそのイベントが何であるか、何の為に、ということですね。

でもね、これがハッキリしていてもダメなケースが多々あるのです。

それは、そのイベントの「構成・内容」が決まっていない場合です。


実例1

「新しくオープンするホテルでオープニング記念のコンサートをします。まだ構成は決まっていませんが、取りあえず出演の確保をしたいのでお願い出来ますか?複数の出演者を予定しており、数曲か20分程度の持ち舞台となる予定です。また他にも歌の方がおりデュエット構想などもどうかと思案中です。お幾らくらいでやって頂けますか?」


これ、一見何も問題がなさそうに一般の方は思うかもしれませんが、

「何もかもd (>◇< )アウト!」なのです。

アウトの理由は

1:他の出演者が誰だか分からない

行ってみたらアマチュアのカラオケのど自慢のおじさん、おばさんと一緒だった、とか(あるんです)演歌歌手、ハードロックなど特殊な分野の方達で構成されているものだったとか。お受け出来ないのではなく、最初から分かっていたら「受けなかった」可能性は非常に高いです。受ける方もいるかもしれませんが、私には無理です。

他に出演者がいるのならどういった人達を招聘する予定かを、各演奏者に依頼交渉時に伝えないとなりません。お互いにとってとても大事な要素なんです。


またアマチュア(一介の愛好家でプロではない。プロ志向でもなく活動もしていない人)の方とプロの方を同列に並べてのイベントは基本的にはまったく無理なことです。せめてプロの方がそのイベントのオオトリまたはメーンエベントで、アマチュアの方との出演の区別がハッキリないと非常に失礼なことです。

また同じプロ同士でもジャンル、キャリア、キャラクターなどがありますよね。ここは招聘側の方が、極端なキャリア、知名度、キャラクターの違いなどの格差がない様に配慮をすることが大事です。その格差が大きいほど「無理」度が高くなって来ます。言われてみれば当然だと思うと多くの方が思うと思うのですが、これ何故か「呼ぶ側」の立場に立つと、半分上の方が少しこれが見えていないと経験上思います。


サブちゃんを呼ぶのに、町のカラオケ大会でもいいんです。他の出演者が愛好家でもいいんです。演歌じゃなくても、ロックの人がいても、ジャズの人がいてもなんでもいいんです。でも「では、次は5番、サブちゃんです!1曲どうぞ!」てなことは止めましょう。まずトップバッターかトリにして下さい。出来れば、サブちゃんのメインコンサートにして下さい。こういうことです。

つまり「招聘する演奏家のことをよく知る。学ぶ」をしてから呼んで下さい。分からなかったらこういったことを前提に、頭に入れておいて慎重にお話をしましょう。かつてあなたが交渉をして来て頂けなかった理由はこれだったかもしれません。

お断りしざるを得ない理由の同率No.1です。(もう1つある)


2:会ったこともない演奏家といきなりコラボは不可能

技術的には出来るでしょうが、そもそも演奏家にはその人独自のスタイルがあります。誰かれとアンサンブルが簡単に出来るわけじゃないんですね。そもそもお相手の音楽に自分自身が「いい!」と思ってコラボするのにも無理なジャンル同士ではない場合に、自らが「この人と一緒に演奏してみたい!」と互いに「非常に興味」を持たない限り、基本的には無理なんです。特に歌なんです。ジャンルの違う歌手の方とのデュオなんて基本的には不可能で、お相手の方の音楽を素晴らしいと思っても、デュオをするのは基本的には無理です。


またどうやって練習をするのでしょうか?その場で合わせて技術的にも可能だと思いますが、条件が整わない限り無理ですね。ピアニストなり伴奏系楽器の方が居て、尚且つその伴奏者も同じジャンルの方で、互いの専門範囲の中から「この歌を是非歌って欲しい」ならまだOKでお受け出来る可能性が高いです。でも基本的に知らない演奏家同士をその企画でコラボは非常に難しいです。だったら最初からグループを組んでいる演奏家にしましょう。


実例2:

「私の経営する◯◯で(ギャラリー、ホテル、何でもいいです)コンサート開催してくれませんか?うちのお店で是非やって欲しいと思いました!」


これでチケットを2000円にしてコンサートを開催するところまで決まったとします。チケット代の売り上げは「全て出演者に」ということも約束をしてあります。ところが、、、これ結構ありがちなことなのですが、飲食店などではお客様が注文をするのでそれがお店側の売り上げになり問題は起きません。起きるのは、飲食店ではない時が多いです。


トラブル1:

チケット売り上げを「全てを」出演料に、という約束だったのですが、終わった後に

「うちの方もお客さんに出したお茶など経費がこれだけ掛かっていますからこれは引かせて下さい」

え?ってビックリしちゃうかもしれませんが、これが「当然」だと思っている人も実はまったく少なくないのです。「あなたの為に演奏会を開催して、家だってお茶など無償で出せないのだから、そこから引いて、残りは全部あげるのだから問題なく当然である」と考えるみたいです。ならば最初にそう言っておかないとならないのはもちろんですが、もう1つありがちな問題がこちらです。 


トラブル2:

何の為にお店なり会社に演奏家を呼んだのでしょうか?本当に音楽が好きで、こういった催しを是非したかった、この演奏家の演奏が好きだったから、でしょうか?その場合もトラブルは起きません。が、そうじゃない場合、ご自身が「演奏会なんて素敵!是非開催して欲しいわ!」と純粋に思っているつもりなんですが、違うんですね。そう思ったのは実際はこういうことです。

「演奏家をうちのお店(会社)で開催してお客様に来て頂くなんて、とっても素敵なイベントだわ!うちのステータスが上がるわ。宣伝にもなるわ!」

これ営利になっていますよね。でもご本人が気が付かないのです。

実はこのトラブル1と2は同時に起ることが非常に多いです。


結局、「集まった額だけでいいですよ」と約束をして演奏に行ったら、お店なり会社の宣伝をする為の形になっており、さらにはその売り上げから自分達の経費を引いているという形です。またこの演奏会にさらにお店などでしたら、特売や別イベントの上乗せをしています。完全に営利なのですが、ご本人達がそれに気が付いていなくて、アプローチとしては純粋に「演奏会を是非やって欲しい、素敵!」という形でやって来ます。この「素敵!」が私達に向けられたものではなく「家のお店、素敵だわ!」なわけですね。笑。


営利に人を使うのであればそれなりの出資は覚悟をしておいて下さい。集まった額だけではお受け出来なくなる場合が非常に多いです。CMを無料で流せるTV局はありません。まったく同じです。あなたのお店なり会社が人に知られていなくて、普段1日1人しか来ないところに一気に会場中一杯になり、その存在も新し方々に知らせられる機会なわけです。プロの演奏家による演奏会というCMがあって出来ることなのです。

よく考えて自分の事業に本当に何も関係していないのか考えてみて下さい。

「家のお店素敵だわ!」だったらそれ営利ですから。間違えない様にお話を進めましょう。

見た目の形はまったく同じでも、「素敵」がどこに向けられているかで、「集まった額でいいですよ」にはならないのです。


あなたのお店(会社)で私の音楽を「生で聴きたいんだ!好きだ!是非ひとりでも多くの人に聴いて欲しいんだ!」なら集まった額でOKです。色々なお店のオーナーで純粋に音楽が非常に好きで定期的に演奏会を開催していらっしゃる方々はたくさんいます。これOKです。


でも同じお店でまったく同じ様に演奏をするのでも、もしあなたが意識していなくても、お店の宣伝効果を考えてなのか、また同時に人がたくさん集まるのだからと、あなたが何か事業営利に関わることを便乗するのか(何かを販売するとか宣伝するとか)、一度考えてみて下さい。少しでもあれば「事前にその旨を」伝えましょう。前投稿でも書きましたが、明らかにお店自体の営利に関わる内容であれば、決まった額の最低保障が必ず必要です。


そして最後に。これは昔、私の友人の演奏家に実際に合った話です。

事例3:

ある福祉団体施設から「まったく予算がないのですが、施設入居者の為に演奏会をやって頂きたいのですが、最低で幾らでやって頂けますか?」


とのことで「交通費だけも大丈夫ですよ」と答えると、演奏会はスムースに決まりました。そして、当日そこへ行くと外部の方からは2千円のチケットを徴収しており、何と売上金から4人の交通費で8千円を「はい、では交通費」と渡し、残りの売り上げを「あ~良かったお金がなくてなくて、施設も大変なんです」と全部持って行ったのです。事情からお気持ちは分かりますが、これ違法です。笑。意図的でないにしろ、それでももし全部持って行っちゃうのなら、詐欺なり横領なりで諸刑事事件で有罪になってしまいます。


しかし、先方はそのつもりはないわけですよね。

「お金がないから、演奏家の方に来てもらってチケット売り上げで何とか儲けよう。交通費で来てくれるってやった!」

と考えたのですが、ビックリするかもしれませんが、実は「稀」ではないんですね。これが。


つまり私達を使って、私達の演奏で入って来るお金を頂いて稼ごう、という人が少なくないのです。上記のケースは何かの「団体」にありがちな悪意のないケースです。演奏会を開催するのは私(団体側)だから「交通費でいい」って言ったんだからいいじゃない。という考えなのでしょう。あとは何をやってもいいと思ってしまうのです。


でも最初に「チケットを発行し売り上げは全部こちらが持って行きます」と伝えないとなりません。というより「そういうことをしていいですか?」と聞かないとならないですね。またどうしてそれを行いたいのか理由も言わないと。

まったくもって常識で当然だと思う人にはビックリするかもしれませんが、本当に少なくないのです。「交通費以上でいいんだ~じゃあ売り上げはもらおう!」って考えてしまうのです。

なのでこれを万が一、あなたがやってしまったら潔く間違いを認めて示談にしましょう。売上金から経費を引いた全額、または全額などを支払えばそれ以上の要求は通常ないです。裁判になると勝ち目はゼロで詐欺や横領など、余計な罪状もいっぱい付いてしまうかもしれない上に慰謝料請求までされてしまうこともあります。刑事事件で負けるともちろん前科も付いてしまいます。


この事例3を基本にした変形型の事例は実はたくさんあるんですね。多いのです。事例1~3までの複合型など無数に事例があります。一番トラブルになるのはこの事例3です。ここに少しでも関わっているタイプでしたら、刑事事件になって訴えられても仕方がないのです。またここには書けないような「悪質」な事例もたくさんあり、演奏家側が無い寝入りをしているケースが多いです。今回は意図した悪意以外でもよくありがちな例だけを書きました。

ただ、演奏家側もこういったトラブルが起きない様に、色々と聞くわけです。私達を使って稼いだらいけないのではありません。黙ってそれをやると「違法になるよ」というだけのお話です。お互いの合意なら何でもありです。


演奏家を呼ぶ時にはありとあらゆる、実際に行われる演奏会に関するすべての計画内容を詳細に渡り演奏家に伝え話し合いましょう。1つでも漏れていることのない様に。私達からも聞くようにしています。契約書を交わしたり、文書で合意を図るのがいいですね。


心ひとつで真摯に演奏依頼はおうけしています。

なので、依頼をする側も真摯に丁寧に細かく考えてみて下さい。

よろしくお願いします。


たくさんの事例がありますが、では次のブログでは

「え!そんなんで呼べるんだ!」「え!それでもいいんだ!」「そんな方法があるのか!」という意外な呼び方です。あるんです。いくらでも方法が。ちょっとお婿さん候補をご用意して下されば、、、笑

と、いう演奏家もどこかにいるかもしれませんが|壁|ョД`*)

前投稿でも書いた、その演奏家の関心、興味、など本人の望むメリットが多ければどんな形でもいいわけです。どの演奏家にもあることなので、変わりダネ招聘方法OK事例を書きますね!

では今日も最後までお読み下さってありがとうございました!

See you soon!!


Joséphine Nidy's Official Site

世界でただ一人のオルゴールルネッサンスシンガー。その歌声は’永遠のボーイソプラノ’。スリークッションビリヤードの愛好家でもあり’歌うハスラー’として世界中のビリヤードシーンでも活躍をしている。